2021/06/01
税理士 湊 義和

延滞税の計算方法


Q:修正申告等を行う場合の延滞税の計算方法は?
ポイント
① 延滞税は、納期限を基準に考えます。
② 通常は、納期限の翌日から2ヶ月までに納付する場合は税率が低く、2ヶ月を超えると税率が高くなります。
③ ただし、修正申告の場合には、修正申告書を提出する日までは低い税率で延滞税が計算されます。
④ つまり、修正申告書の提出日から2ヶ月を超えると高くなります。
⑤ 又重加算税が課されなければ、延滞税は1年以上は課税されません。
Ⅰ 基本的な計算構造

延滞税は、納期限までに税金を納付をしなかった場合、ペナルティとして課されるものです。
税率は、延滞している期間に応じ、以下のようになっています。(国税通則法60条)



(1)「納期限までの期間」又は「納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間」
年7.3%の割合(国税通則法60条)
この「納期限までの期間」とは、下記Ⅲ、Ⅳの図のように、修正申告書の提出や更正等があった時に、 「当初申告の法定納期限から、修正申告等により新しく生じた納期限」までの期間を言います。  
ただし、以下の延滞税を軽減する特例があります。(措法94条)

① 令和3年1月1日以後の期間         
年7.3%の割合と「延滞税特例基準割合(注1)+1%」のいずれか低い割合となります。具体的には、以下の通りです。         
・令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年2.5%
(注1)「延滞税特例基準割合」とは、平均貸付割合(各年の前々年の9月から前年 の8月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が1年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を十二で除して計算した割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合をいう。)に年1%を加算した割合をいいます。         
⇒ 【実務での深堀りポイント】         
令和3年1月1日以後は、別途「利子税特例基準割合」が定められており、こちらは、「平均貸付割合+0.5%」になります。よって、従業員への社内貸付の利率を決定する際の利率は、この利子税特例基準割合により評価するとしていますので、令和2年は1.6%であった貸付利率は、令和3年は1%と大幅に下がっています。(所基通36-49)  

② 平成26年1月1日以後令和2年12月31日までの期間
年7.3%と「特例基準割合(注2)+1%」のいずれか低い割合となります。
・平成31年1月1日から令和2年12月31日までの期間は、年2.6%
・平成30年1月1日から平成30年12月31日までの期間は、年2.6%
・平成29年1月1日から平成29年12月31日までの期間は、年2.7%
・平成27年1月1日から平成28年12月31日までの期間は、年2.8%
・平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年2.9% 
(注2)「特例基準割合」とは、「各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が一年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を十二で除して計算した割合(当該割合に0.1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として各年の前年の12月15日までに財務大臣が 告示する割合に、年1%の割合を加算した割合を言います。 (旧措法93条)      

③ 平成25年12月31日以前の期間
「前年11月30日において日本銀行が定める基準割引率+4%」となります。具体的には以下の通りです。
・平成22年1月1日から平成25年12月31日までの期間は、年4.3%        

 

 

(2)納期限の翌日から2月を経過した日以後の期間
年14.6%の割合(国税通則法60条)
ただし、以下の特例があります。(措法94条)     

① 令和3年1月1日以後の期間     
年14.6%と「延滞税特例基準割合(注1)+7.3%」のいずれか低い割合となります。         
具体的には、以下の通りです。         
・令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年8.8%         

② 平成26年1月1日以後令和2年12月31日までの期間         
 年14.6%と「特例基準割合(注2)+7.3%」のいずれか低い割合となります。         
具体的には以下の通りです。         
 ・平成31年1月1日から令和2年12月31日までの期間は、年8.9%         
・平成30年1月1日から平成30年12月31日までの期間は、年8.9%         
・平成29年1月1日から平成29年12月31日までの期間は、年9.0%         
・平成27年1月1日から平成28年12月31日までの期間は、年9.1%         
・平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年9.2%              

③ 平成25年12月31日以前の期間         
特例なし。よって、14.6%  

Ⅱ 具体的な計算ルー

○ 計算式は次のようになります。

 

Ⅲ 修正申告の場合の特例(国税通則法61条)

 

※つまり、修正申告で重加算税が課されなければ、1年以上の延滞税は免除されます。
※期限後申告の場合には、その申告書提出後1年を経過した日以後の延滞税が免除されます。

Ⅳ 更正の場合の特例(国税通則法61条)


 ※ 更正の場合には、延滞税の免除期間は更正通知書が発せられた日までとなります。更正の場合の納期限は、更正通知書が発せられた日の翌日から1月を経過する日までとなります。(国税通則法35条)

Ⅴ 具体的な計算例

A社は、税務調査を受け、平成27年3月期の法人税について修正申告書を提出することとした。平成27年3月期の修正法人税額は、3,152,100円で、当初申告書は期限内にきちんと提出していた。修正申告書は、平成28年9月30日に提出し、同日修正法人税額は完納した。なお、今回の調査で、A社の修正内容には重加算税処分を受ける内容は無かった。

1 延滞税の免除期間特例が受けられるかを確認する。
A社は、重加算税の処分を受けていない。したがって、延滞税の免除期間がある。
2 延滞税の免除期間を計算する。
免除期間は、法定申告期限から1年を超えた日から、修正申告書提出日までとなっている。
① 今回は、平成27年3月決算なので、法定申告期限は、平成27年5月31日
② 法定申告期限から1年を経過する日  平成28年5月31日
③ 延滞税の免除期間は、平成28年6月1日から平成28年9月30日となる。
3 延滞税を計算する。
① 延滞税率は、特例割合である年当たり2.8%となる。         
② 延滞税の計算期間は、平成27年6月1日~平成28年5月31日の1年間。         
③ 延滞税を計算する。         
   (1) 本税の額:3,152,100円=3,150,000円(1万円未満を切り捨てます)         
   (2) 延滞税の割合         
        特例割合である「年当たり2.8%」を365日で除します。          
       0.028÷365=0.00007671232・・・(端数切捨てしないで計算を進めます)         
   (3) 延滞期間         
        平成27年6月1日から平成28年5月31日となります。         
        平成28年はうるう年なので、366日となります。         
   (4) 延滞税額         
      (1)×(2)×(3)=88,400円(100円未満を切り捨てます)         
           答 88,400円

以上

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