2021/07/06
税理士 湊 義和

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Q:令和3年度の税制改正で改正された「電子帳簿等保存制度」の概要を教えてください。
A:経済社会のデジタル化を踏まえ、①経理の電子化による生産性の向上、②テレワークの推進、③クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上、④2023年10月導入予定の「消費税インボイス制度」の電子化等に資するため、「電子帳簿等保存法」が改正され、帳簿書類を電子的に保存する際の手続が抜本的に簡素化されました。この取扱いは2022年1月1日より適用が開始されます。
1.電子帳簿保存制度の概要

(1)電子帳簿保存法の意義

所得税法、法人税法及び消費税法では、紙での備付け及び保存すべき総勘定元帳等の「国税関係帳簿」や紙で保存すべき請求書、領収書等の「国税関係書類」(これらをまとめて「国税関係帳簿書類」といいます)について、一定の要件を満たした場合、電磁的記録による保存を可能とすること等を定めた法律です。

 

 

(2)区分

紙に代えて、電子データによる保存する制度は、以下の制度が整備されています。

 

(3)帳簿書類等と保存方法

 

 

(※①) 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳等などをいいます。       
(※②) 貸借対照表、損益計算書、棚卸表、注文書、契約書、請求書、領収書等などをいいます。このうち、貸借対照表、損益計算書、棚卸表、その他計算、整理又は決算に関して作成されたその他の書類は、スキャナ保存の対象外です。(電帳法規則3③)
(※③)  取引に関して受領し、または交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常される事項をいいます。
(※④)  それぞれに定める一定の要件を満たす必要があります。
(※⑤)  COMとは、電子計算機出力マイクロフィルムを意味します。

 

 2.令和3(2021)年の改正概要

(1)事前承認制度の廃止
① 電子帳簿等保存およびスキャナ保存について、事前に税務署長の承認が必要であったところ、これが廃止されました。
② ただし、既に事前承認を受けている事業者が、改正後の電子帳簿等保存法の適用を受けたい場合には、「承認の取りやめの届出書」を2022年1月1日までに提出する必要があります。
(2)要件の緩和
① 電子帳簿等保存
要件の大幅な簡素化を図った一方で、改正前の厳格な要件と同水準の要件を満たした場合で、事前の届出があった時(「優良な電子帳簿」といいます。)は、過少申告加算税が5%減免されることとなりました
(※当該帳簿の記載事項に関して生じたものに限ります)。
② スキャナ保存
A 訂正または削除の履歴が残るシステムで保存される場合のタイムスタンプ付与は不要になりました。
B タイムスタンプの付与期間が、3日以内から「最長2か月と概ね7営業日以内」に延長されました。
C 適正事務処理要件が廃止されました。
D 検索項目の簡素化が図られました。
③ 電子取引保存
A タイムスタンプの付与期間が、3日以内から「最長2か月と概ね7営業日以内」に延長されました。
B 電子取引に係るデータ保存について、書面出力により保存する特例措置が廃止されました。
C 検索項目の簡素化が図られました。
(3)罰則規定
A スキャナ保存および電子取引データの改ざん等により不正が行われた場合の重加算税について10%が追加で加重されます。
B 本制度の保存要件を満たさない電磁的記録については、国税関係書類等として取り扱わないこととなりました。

 3.改正後の帳簿及び国税関係書類の電子保存制度(電帳法第4条①②)

(1)要件

※改正前は、税務署長の事前承認の他、訂正・削除履歴の確保、相互関連性の確保、日付または金額の範囲指定による検索等の要件が課されていましたが、大幅に簡素化されました。

 

 4.改正後の国税関係書類のスキャナ保存制度(電帳法第4条③)

(1)イメージ

 

                                 (国税庁HPより引用)

 

(2)主な要件
①タイムスタンプ付与期間(従来3日以内)が、記録事項の入力期間と同じ「最長2か月と概ね7営業日以内」に緩和されました。
※電子データについて訂正または削除を行った場合に、これらの事実および内容を確認することができるクラウド等において、入力期間内にその電子データの保存を行ったことを確認することができるときは、タイムスタンプの付与に代えることができます。
②検索要件は次の通りです。
A 下記記録項目が検索できることが求められます。
 1. 取引年月日 
 2. 取引金額
 3. 取引先
B 日付または金額の範囲指定により検索できること
C  2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること
※税務職員による質問検査権に基づく電子データのダウンロードの求めに応じることができる場合には、BおよびCの要件は不要となります。

 

5.改正後の電子取引データの保存制度(電帳法第7条)

(1)要件

(2)紙出力保存特例措置の廃止
① 法人税法および所得税法の適用を受ける者
電子取引の取引情報に係る電子データについて、改正前は可能であった紙出力等の保存をもってその電子データの保存に代えることができる特例措置は廃止されました。
※電子取引には、承認等の制度は用意されていません。よって、電子取引を行えば自動的に適用されることとなります。改正前に、紙出力により保存で代替していた場合でも、今後は電子データでの保存が義務付けられます。電子データは、上記要件を満たす必要があり、満たしていない場合には、法令の要件に依拠した保存が行われていないものとされます。
② 消費税法の適用を受ける者
上記、電帳法第7条による保存規制の適用を受けないため、仕入税額控除の適用をうけるためには、請求書等の紙保存又は電帳法第4条による保存が必要です。(注)

6.加算税制度の改正

(1)過少申告加算税の軽減措置(電子帳簿等)
帳簿保存等の要件は、原則、3(1)の通りですが、改正前の厳格な要件を充足する事後検証可能性の高い帳簿、すなわち「優良な電子帳簿」に該当する場合で、該当帳簿に記録された事項に関し、申告漏れがあった時は、申告加算税が5%軽減される措置が整備されました。
 「優良な電子帳簿」は、一定の要件を満たしたうえで、届出書をあらかじめ税務署に提出している必要があります。また仮装・隠ぺいがあった場合は除きます。

【優良な電子帳簿】

なお3.(1)にあります質問検査権に係る要件は、優良な電子帳簿の要件をすべて満たしているときは不要となります。

(2)重加算税(スキャナ、電子取引)
下記事実があった場合、その事実に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税が10%加重されます。
→スキャナ保存、電子取引の取引情報に係る電子データに関して、隠蔽し、または仮装された事実があった場合

以上

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