2009/03/09
税理士 湊 義和

平成21年度(2009)で新設される「第二会社方式」事業再生スキ-ムとは?


Q:平成21年度税制改正により導入される「第二会社方式」による事業再生スキ-ムについて教えてください。
ポイント
①従来「第二会社」方式は、金融機関から、旧会社に債務だけを残して、別会社で営業をするという「借金のがれ」の方法として厳しく対応していた方式です。
②しかし、会社は倒産してしまえば、今までの有形無形の資産が霧消してしまいます。仮に何らかの形で、いままでの会社資産のうち、事業再生が可能な部門があれば、再生させるスキ-ムを検討することは、社会全体の活力を維持し、結果として金融機関の貸倒れコストを低減することにもつながります。
③したがって、従来の負のイメ-ジから180°転換し、この「第二会社」方式を社会的な制度として整備して、企業の事業再生を進めようというのが今回の制度新設の趣旨です。
④今回の制度新設の目玉は、第二会社への金融支援措置が盛り込まれることです。これが実現すれば、第二会社が資金調達することにより、旧会社へ事業購入代金を支払うことが出来、結果として旧会社へ融資していた金融機関への返済原資を生み出すことができるため旧会社の債権者からの協力を格段に取り付けることができるようになるため、この制度が一気に普及することが期待されます。
1 第二会社方式とは何ですか?

業績不振となった会社が、別会社を設立して、その会社で営業を継続していく方式です。したがって、従来は、金融機関からの返済に行き詰まった会社が、その債務を返済せずに、別会社で無借金で事業を開始することが多く、金融機関等の債権者としては、これを放任してしまうと債権の回収が困難となってしまうため、詐害行為取り消し権や、法人格否認の法理などにより、このような行為に厳しく対応していたのが現実です。


*詐害行為取り消し権
民法424以下に規定されているもので、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為を取り消すことができる権利のことをいいます。
*法人格否認の法理
形式上は、法人格を有していても、実態は個人や他の法人の隠れ蓑にすぎない場合に、その実態に即した法律関係に整理しなおすために行使される法理のことをいいます。

つまり、上記のような第2会社は、債権者への債務の弁済を逃れる、つまり債権者を害するために行われたものであるとして、その行為を否認したり、また新設された第2会社の実態は、旧会社そのものであるとして、新会社の法人格の否認するなどして、金融機関としての債権保全を図っています。

2 法整備の必要性

第2会社方式は、1で見たとおり、単に借金を逃れるために利用されることが多かったため、本当に会社の社員や、優良な取引先、ノウハウ等を切り離し、再生していこうという場合に使えないというケースが多くありました。
そこで、この第2会社スキームのうち、真に事業再生を目指すものについては、国が公的な認定を与え、他の第2会社スキームとの峻別をしっかり取ることにより、第2会社制度を事業再生スキームとして活用できる環境を整備しようというのが今回の法的整備の趣旨です。

3 今回の改正内容

上記の問題点を改善するため、今回以下のような改正が行われる予定です。
 



*1 平成21年度から適用予定税率を記載している。
*2 土地については租税特別措置法第72条により有利な税率が設定されていることから(平成21年度は1.0%の予定本件の軽減税率(1.6%)は適用されない。



(出典)
中小企業庁HP 「中小企業の事業再生支援の強化について」(平成20年12月)

以上

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