2022/08/15
税理士 湊 義和

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少額減価償却資産の取扱いの改正について


Q:令和4年度税制改正において、少額減価償却資産の取扱いに改正が入ったそうですが、その内容と対応について教えてください。
A:少額減価償却資産の対象資産から、貸付け(主要な事業として行われる貸付けを除く)の用に供したものが除外されることとなりました。この改正は令和4年4月1日以後に取得する資産から適用されるため、今後は資産の取得価額のみならず、資産の用途や「主要な事業として行われる貸付け」に該当するかどうかの判断も必要となります。

解説

1.少額減価償却資産とは(令和4年度税制改正前)

令和4年度税制改正の対象となった少額減価償却資産の規定は3つあり、概要は次のとおりです。

①少額減価償却資産の取得価額の損金算入(法令133条)
 事業の用に供した減価償却資産で、取得価額が10万円未満であるもの又は使用可能期間が1年未満のものについて、取得価額相当額を事業供用年度において損金経理した場合には、その経理した金額が損金の額に算入されます。

②一括償却資産の損金算入(法令133条の2)
 取得価額が20万円未満である減価償却資産を事業供用した場合において、その資産の全部又は特定の一部を一括したものの取得価額の合計額(一括償却対象額と言います)を、事業供用年度以後の費用の額又は損失の額とする方法を選定したときは、損金経理した金額の内、次の算式により計算した金額に達するまでの金額が損金の額に算入されます。

一括償却対象額÷36ヶ月×事業年度の月数

③中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(措法67条の5)
 青色申告事業者である中小企業者等が取得して事業供用した減価償却資産で、その取得価額が30万円未満であるもの(少額減価償却資産)につき、少額減価償却資産の取得価額相当額を事業供用年度において損金経理した場合には、その経理した金額が損金の額に算入されます。ただし1年あたり合計で300万円を限度とします。

2.改正の概要と背景

 令和4年度税制改正において、令和4年4月1日以後に取得する1の①から③の対象資産から、貸付け(主要な事業として行われる貸付けを除く)の用に供したものを除外する旨、追加されました。
 例えばリース会社のように、節税目的ではなく本来の事業としてリース業等を行っている事業者が、取得した資産を貸付けた場合など、「主要な事業として行われる貸付け」(具体例は後述)に該当する場合は、本改正の適用対象外となります。
 一方、「主要な事業として行われる貸付け」に該当しない場合は、1の①から③の規定の適用を受けることが出来なくなり、取得価額を法定耐用年数にわたって減価償却により損金の額に算入していくこととなります。なお、この改正は所得税についても同様の取扱いとなります。

 改正が行われた背景として、利益が出そうな時の決算対策のひとつに、単価10万円未満の資産(ドローン等)を大量に購入して全額損金算入した後、その後の年度で他者への貸付けによるレンタル料収入と売却による売却収入によって投下資金を回収するような、課税の繰延スキームが見受けられたことによるものとされております。

3.主要な事業として行われる貸付けの範囲

「主要な事業として行われる貸付け」とは、リース業等の他、例えば次のようなケースが該当します。(法規27の17①、法基通7-1-11の3)

①当該内国法人が当該内国法人との間に特定関係(※)がある法人の事業の管理及び運営を行う場合における当該法人に対する資産の貸付け
(例)企業グループの管理運営を行う親法人が子法人に対して行う事務機器等の貸付け

(※) 特定関係とは次のいずれかに該当する関係を言います。
(1)一の者が法人の事業の経営に参加し、事業を実質的に支配し、又は株式若しくは出資を有する場合における当該一の者と法人との間の関係(当事者間の関係と言います)
(2)一の者との間に当事者間の関係がある法人相互の関係その他これらに準ずる関係

②当該内国法人に対して資産の譲渡又は役務の提供を行う者の当該資産の譲渡又は役務の提供の事業の用に専ら供する資産の貸付け
(例)下請け業者に対する機械や工具の貸付け 
 
③継続的に当該内国法人の経営資源を活用して行い、又は行うことが見込まれる事業としての資産の貸付け
(例)その内国法人の人員や設備を使って継続して行う資産の通常の貸付け。
つまり、外部の業者が立案した賃貸スキームを前提とした契約(下記4.のような契約)の場合には、その内国法人の作業がほとんど生じないため該当しません。
また、通達では、小売業を営む法人のその小売店の駐車場の遊休スペースを活用して行う自転車その他の減価償却資産の貸付けが例示されています。

④当該内国法人が行う主要な事業に付随して行う資産の貸付け
(例)学習塾を営む法人の生徒への視聴用タブレット・Wi-fiルーター等の貸付け、不動産貸付業を営む法人のその貸し付ける建物の賃借人に対する、家具、電気機器その他の減価償却資産の貸付け

4.主要な事業として行われる貸付けに該当しない契約関係

 資産の貸付後に譲渡人(当該内国法人に対して当該資産を譲渡した者)その他の者が当該資産を買い取り、又は当該資産を第三者に買い取らせることをあっせんする旨の契約が締結されている場合(当該貸付けの対価の額及び当該資産の買取りの対価の額の合計額が当該資産の取得価額のおおむね90%相当額を超える場合に限る。)は、「主要な事業として行われる貸付け」には該当しません。(法規27の17②)

5. 一時的に貸付けの用に供した減価償却資産の取扱い

 改正後の少額減価償却資産の規定の適用上、法人が減価償却資産を貸付けの用に供したかどうかは、上記2.から4.により判定します。そして、このいずれにも明確に当てはまらないケース、例えば一時的に貸付けの用に供したようなケースでは、その貸付けの用に供した事実のみをもって、その減価償却資産が貸付けの用に供したものに該当するとは判定せず、その減価償却資産の使用目的、使用状況等を総合勘案して判定する旨、通達で示されています。(法基通7-1-11の2)

6.今後の対応

今後、少額減価償却資産の適用の検討にあたっては、資産の取得価額のみならず、資産の用途や、上記3及び4により「主要な事業としての貸付けの範囲」に該当するかどうかも含めて、ケース毎に総合的に判断していく必要があります。

7.適用開始時期

令和4年4月1日以後に取得する資産より適用されます。

 

以上

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