2019/01/15
税理士 湊 義和
平成31年度(2019)税制改正大綱による改正動向(速報)
(1)消費税10%に対応した住宅ローン控除制度の拡充
① 対象となる者
消費税等が10%である住宅の購入をして、2019年10月1日から2020年12月31日までに居住の用に供した者
② 一般住宅を購入した場合の控除率
A 1年目から10年目
住宅借入金等の年末残高(最大4,000万円)×1%(最大40万円)
B 11年目から13年目(創設)
次のいずれか少ない金額
a 住宅借入金等の年末残高(最大4,000万円)×1%
b 住宅等の対価の額(税抜金額)×2%÷3
③ 認定長期優良住宅等を購入した場合の控除率
A 1年目から10年目
住宅借入金等の年末残高(最大5,000万円)×1%(最大50万円)
B 11年目から13年目(創設)
次のいずれか少ない金額
a 住宅借入金等の年末残高(最大5,000万円)×1%
b 住宅等の対価の額(税抜金額)×2%÷3
④ 注意点
消費税の経過措置等により8%で購入した場合には適用できない。
(2)ふるさと納税を適用できる市区町村を限定
過度な返礼等を抑制するため、下記の要件を満たした市区町村以外については、ふるさと納税制度の特例控除を認めない制度を創設
① 適用対象市区町村(以下のいずれにも該当する場合)
A 返礼品の返礼割合が3割以下としている場合
B 返礼品が地場産品でない場合
② 開始時期
2019年6月1日以後に支出された寄附金
③ ふるさと納税制度の特別控除
ふるさと納税制度では、以下の金額が控除される。
A 所得税:(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率
B 住民税(基本控除):(ふるさと納税額-2,000円)×10%
C 住民税(特別控除):(ふるさと納税額-2,000円-A-B)
ただし、住民税の所得割額の2割を限度。
(1)個人事業主の事業承継税制の創設
① 基本的制度設計
平成30年の税制改正で大幅に緩和された法人の自社株式の贈与または相続に係る贈与税・相続税の納税猶予制度の個人版を創設。
基本的には、個人事業主が、自己が保有する事業用土地、建物、減価償却資産を後継者へ2028年12月31日までに生前贈与した場合の贈与税を納税猶予する制度。
② 先代経営者要件
贈与時に青色申告者であること
③ 後継者要件
2024年3月31日(法人版は2023年)までに承継計画の確認を受けた後継者
④ 贈与実行期限
2028年12月31日(法人版は2027年)
⑤ 適用対象資産
土地(400㎡まで)、建物(床面積800㎡まで)、減価償却資産(青色申告決算書記載のもの)
⑥ 小規模宅地等の特例との選択適用
本制度を利用した場合には、小規模宅地等の特例(特定事業用宅地等の特例)は利用することができない。
(2)教育資金の一括贈与制度
① 贈与者の所得制限の導入
贈与を行う年の前年の合計所得金額が1,000万円以下である者
② 資金使途の縮減
利用時点での受贈者の年齢が23歳以上である場合には、教育訓練給付金の支給対象となるもの以外の習い事等の費用は除外
③ 適用年限
2021年3月31日まで2年延長
(3)結婚・子育て資金の一括贈与制度
① 贈与者の所得制限の導入
贈与を行う年の前年の合計所得金額が1,000万円以下である者
② 適用年限
2021年3月31日まで2年延長
(1)「中小企業者」の範囲の変更
基本的には、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人をいうが、大規模法人に支配されている場合には中小企業者から除外される。今回、この大規模法人の範囲が拡大された。
① 改正後の「大規模法人」の定義
A 資本金又は出資金の額が1億円超の法人
B 大法人(注)の100%子会社(新設)
(注)資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人、相互会社等をいう。
C 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式又は出資の全部を保有されている法人(新設)
D 資本又は出資を有しない法人で常時使用従業員数が1,000人超の法人
(2)中小企業者等への軽減税率
適用期限を2年間延長
(3)中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制
適用期限を2年間延長。ただし、中小企業経営強化税制については、特定経営力向上設備等の範囲の明確化及び適正化を行う。
以上
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